自然塗料とはどんなもの?

おすすめ記事

・ もくじ ・

自然塗料とは何?

木部に塗る塗料として「自然塗料」と呼ばれる種類のものがあります。

自然塗料とはどういったものなのでしょうか?
簡単に定義してみますと、
「植物油や植物ワックス、植物顔料、鉱物顔料など天然素材で構成された塗料」
ということになります。

化学系塗料でよく使われるような石油を原料とする樹脂や溶剤、合成顔料を使っていませんので、人体や環境に悪影響が少ないと考えられています。

 

自然塗料の種類

自然塗料にも用途や性質によっていくつか分類がされます。
軽くまとめますと、

1:オイル主体のもの

ひまわり油、亜麻仁油、荏胡麻油、胡桃油など天然の植物油を主成分にして塗料を塗ったあとにウエスなどで拭き取りをする「オイルフィニッシュという技法によく使用されます。塗膜を作らずに木材の内部に浸透し 木の質感がそのまま残り木本来の風合いが残ります。

2:ワックス主体のもの

蜜蝋、カルナバ蝋、カンデリラ蝋、など動物性、植物性由来の天然蝋を主成分にしたものです。そのままでは固形ですのでテレピン油などの溶剤に溶かして液状に使いやすくされています。木にワックスが浸透することで木の表面に撥水性や防汚性などの働きが残ります。ワックスは時間の経過でどんどんと取れていきますので、定期的に塗り直すメンテナンスが必要となります。

3:オイルとワックス主体のもの

オイルとワックスの機能を組み合わせることによって、木材を保護する性能を引き出したものとなります。植物油を主成分にして木材の表面を保護しながら、ワックス分を含むことで、水はじきをよくし耐水性を上げています。

4:ワニス主体のもの

ワニスとは樹脂をテレピン油などの溶剤に溶かしたものとなります。樹脂には樹木からとれる天然のものが使用され、種類として松脂、ダンマル、コーパルなどがあります。ワニスは木の表面に膜を作ることによって木自体を保護します。ダンマルをテレピン油に溶かした白色のものは白ワニスと呼ばれます。ワニスは古くから使われていることが多いため、溶剤にはアレルギーを起こしやすいものが使われている場合がありあまり健康面で配慮されているわけでありません。

 

どんな利点があるの?

自然塗料は、木材の表面に塗膜を作らずに浸透していく塗料です。
そのため、木が持つ調湿性(湿度が高いときは水分を取り込み、乾燥しているとは水性を放出する機能)を損なうことなく、木を保護することができます。
また、木本来の手触りや質感が残るため、木目の美しさやあたかかみをはっきりと感じることができます。

塗膜を作らないため、メンテナンス性にも優れています。年月が経ち、撥水性や耐候性などの塗料の性能が低下してきたら、再び同じ塗料を上から塗り重ねることによって
木を守る塗料の性能が戻ります。

天然の植物油のため、安全性が高くシンナーのような強烈な臭さはないので、塗装を普段やらない方でも塗りやすく、ご自身でメンテナンスできることも利点です。 
植物油をぬぐい取った布やタオルを積み重ねると空気中の酸素と反応し自然発火することがあるので、そこだけは注意する必要があります。

 

逆に欠点はあるの?

ディメリットとしては、塗膜を作らないため、木材の保護力は弱く、何かものがぶつかったりすると傷がつきやすくなります。
また耐候性も石油系の化学塗料に比べると低く、早くて2~3年、長くても4~5年を目安に塗り替えをする必要があります。
乾燥に時間がかかるため塗った後はしばらく乾燥するための時間を必要とするので1日で2回塗りすることが難しい場合もあります。

あと、値段が高くコストがかかりがちということがあるのですが、これは製品の品質の高さを保つために必要な面ではあります。

注意点ですが、安全な成分を使用しているからといってもアレルギー反応を起こされる方もいらっしゃいますので、使用される前に体質に合うかどうかを確認する必要があります。

 

どんなところに塗れるの?

木材の部分であればほとんど部位に塗装可能です。
その場合、用途にあった商品を選ぶ必要があります。
考慮するものは以下の通りです。

内装用塗料建物の内部の壁や床、家具、玩具などが対象です。
水のかかる部位には水をはじくためのワックス成分が多く含まれているものが良いです。
また床に塗る場合には、塗った後にすべにくいようにワックス成分が配慮されている必要があります。
オスモの床専用のフロアークリヤーなどが適しています。
外装用塗料ウッドデッキやフェンス、壁など
外のものに塗るものですので、紫外線に強く耐候性のあるものを選ぶ必要があります。
色あせを防ぐために色を構成する顔料を多く含むものが良いです。
また雨水に対する耐水性や防カビ性なども考慮する必要があります。

自然塗料の主なメーカー  

自然塗料を扱っているメーカーは海外、国内を含め多くあります。
以下、主だったものを紹介していきます。

 
●オスモカラー
 
ドイツを本社とするメーカーで主成分は「ひまわり油」を使っています。
自然塗料メーカーとして多くのシェアを占め、外部用塗料、内部用塗料、床用塗料など多くの用途に合わせてラインナップが豊富にあります。
植物油や顔料成分の比率が高く木材の保護性能が高くなっています。
塗料の種類に合わせてそれぞれにカラーバリエーションも豊富なのが特徴です。

オスモカラー


●リボス

ドイツを本社とするメーカーで主成分は「亜麻仁油」を使っています。
「健康に害のある成分は、天然物でも使用しない」というコンセプトで、アレルギーに対応した塗料の開発にこだわっています。
内部用塗料、外部用塗料と種類が豊富にあり、亜麻仁油由来による深みのある色合いが特徴です。

リボス


●アウロ
 
ドイツを本社とするメーカーで主成分として「オレンジ油・亜麻仁油等」を使っています。
完全な天然の材料にこだわり、石油系溶剤、合成顔料などを一切使わない姿勢を貫いています。
天然のオレンジオイルを溶剤としているため、柑橘系のいい香りがします。
低粘度で塗りやすいため、経験のない方でもムラなく簡単に塗れます。

アウロ


●G-NATURE

国内メーカーの玄々化学工業が製造しています。
亜麻仁油ベースの塗料で、家具や木製品、床用など用途に合わせたラインナップがあります。
着色剤の和さ美は日本古風の色を再現し、古民家風仕上がりが可能です。

G-NATURE


●バトン

国内メーカーの大谷塗料株式会社が製造しています。 
主成分として亜麻仁油を使い、溶剤には食品・医薬品にも使用できる安全性の高いものを使用しています。
臭いが少なく、着色から上塗り乾燥まで1日で終わる速乾性が特徴です。比較的、低価格です。

バトン


●キヌカ 

国内メーカーの日本キヌカ株式会社が製造しています。
主原料として米ぬかの油を使用し、日本独自の自然塗料となっています。
乾燥時間が2〜3時間も早く、無臭で自然発火の危険性もなく安全な塗料となっています。

キヌカ

関連記事

カテゴリー

アーカイブ